~ヒロシマから世界へ平和を発信~

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 HRCP証言者の波田スエ子さんが平和記念公園内の原爆供養塔前で被爆体験を証言するのは初めてのことでした。

 1945年8月6日、爆心地から800mの自宅で3人の姉と共に被爆。たった一人生き残り、ガレキの街を逃げまどい、目にした地獄のような光景、行方しれずのままの両親が迎えにくると信じて待ち続けた日々、一人だけ助かり姉を置いて逃げた心の痛みを抱えたまま生きて来た苦しみ等々…。忘れられない光景がよみがえり、涙で声がとぎれるなか、声をふりしぼって語る波田さんの姿は参会者の心にしっかり届いたと思います。

 原爆供養塔には、どこの誰かもわからない約7万人もの遺骨が納められています。波田さんは、この供養塔にきっと両親が眠っていると信じ、参拝してこられたといいます。この地に眠る数知れないみ魂の思いが波田さんを通して、あふれ出てきたように感じました。

「あの日に消えかかった命が、こうして普通の生活ができること、身体は不自由になっても今が一番幸せなんです」

「戦争はどんな理由があろうとも絶対にしてほしくないです!」

「どうか一人の人にでも伝えて下さい」

 波田さんの消えることのない心の痛み、8歳から一夜にして変わってしまった人生、それをムリヤリに思い起こし言葉に出すことの苦しみ、その重さをどれだけ感じていただろうか…。波田さんの証言を聴いて30年、波田さんの体中からあふれる思いが一段と迫ってきました。

    2024年7月20日 

    第39回 原爆犠牲者慰霊並びに平和祈願式典(新日本宗教団体連合会青年会中国連盟主催)にて

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